新卒採用で「母集団は集まるのに説明会につながらない」のはなぜか。媒体×ATSの二軸配信と週次追客・SMSで初期歩留まりを改善する方法
2026.07.22
「ナビサイトからのエントリーやスカウト承諾は順調に積み上がっているのに、その後のインターンシップ(IS)・説明会への予約が進まない」――
新卒採用に取り組む多くの企業で、毎年同じ段階で歩留まり課題が発生していると思います。
母集団形成やスカウト文面の改善には大きなリソースを割いているはずなのに、なぜ選考の入口である「説明会への予約」で学生の反応が途絶えてしまうのか。
本記事では、レコグラムが新卒RPO(採用代行)の現場でよく見る「歩留まり課題のポイント」と、未予約者層から追加で「計55名の説明会予約を再獲得」した具体的な運用設計を、数値データとあわせて解説します。
1. 新卒採用で起きがちな「母集団は集まるのに、説明会につながらない」という課題
新卒採用の運用フローを分解すると、初期段階ではおおむね次のような流れになります。
(1)ナビサイト(マイナビ・リクナビ等)への掲載/スカウト媒体(OfferBox 等)でのアプローチ
(2)エントリー・スカウト承諾の獲得
(3)IS・説明会の案内配信
(4)IS・説明会の予約獲得
(5)本選考への移行
本選考への移行までに「(3)案内配信 → (4)予約獲得」の間で進捗が悪く、課題を感じられている企業では以下の状況に陥っていることが多いです。
・ エントリー数・スカウト承諾数は前年比で増えているのに、説明会の予約数が伸びない
・ ATS(採用管理システム)から一斉案内を送っているはずなのに、開封率・予約率が想定より低い
・ 一定数の応募者が「案内が届いていない」「メールを見ていない」と回答する
母集団形成のKPIだけを追っていると気付きにくい領域ですが、ここを放置すると、せっかく獲得したエントリーがそのまま離脱してしまいます。
2. なぜ初期歩留まりが下がるのか|ATS一元管理が生む「認知の断絶」
新卒採用の企業の多くは、複数媒体・スカウトサイトから流入する応募データを一元管理するためにATS(採用管理システム)を導入しています。
データを1箇所に集約し、人事業務を効率化するうえでATSは欠かせない仕組みです。一方で、この「一元管理」が初期歩留まりを下げる構造的な原因になっているケースが少なくありません。
▼ 2-1. 人事が見ている場所と、学生が見ている場所のズレ
学生にとっての就活の主戦場は、各「媒体マイページやスカウトサイトのアプリ」です。新着メッセージの通知もそこで受け取り、そこから予約や返信といった行動を起こす習慣ができあがっています。
ところが、ATSを導入している企業では、媒体経由のエントリーやスカウト承諾が発生した瞬間に応募者データがATSに吸い上げられ、その後の案内連絡はATSから送信されるメールへと切り替わるのが一般的です。
学生側から見ると、これまで使い慣れていた就活アプリの画面から引き離され、ある日突然「見覚えのないドメインから届くメール」に応答することを求められます。アトラクト(動機形成)が十分に進んでいない初期段階では、この切り替えに学生の意識がついてきません。
▼ 2-2. ATS導入後に起きる3つの取りこぼしパターン
初期歩留まりが悪くなる典型的なパターンは次の3つです。
① メールの埋没
起きていること:大量に届く就活関連メールに紛れて、案内メールが認識されない
学生側の状態:そもそも開いていない
② チェック頻度のミスマッチ
起きていること:普段あまり開かないパーソナルメールに届くため、リアルタイムで気付かない
学生側の状態:数日経ってから気付く/案内日程を過ぎている
③ 迷惑メール判定
起きていること:ドメインの設定によっては迷惑メールフォルダに振り分けられる
学生側の状態:物理的に届いていない
人事側は「ATSから案内を一斉送信できた」と捉えていても、企業に対する志望度がまだ低い状態の学生側では「そもそもメッセージの存在自体に気付いていない」状態が頻発します。
この「認知の断絶」が、初期歩留まりを下げる本質的な原因です。
3. 解決策①|媒体とATSの「二軸配信」で見落としを防ぐ
最初の打ち手は、「IS・説明会の案内は、応募のあった元媒体とATSの両方から送る」という運用ルールへの切り替えです。ATSによる一元配信の効率を一旦手放し、配信工数が増えることを許容したうえで、見落としの余地をつぶしにいきます。
動線1(学生の主戦場)
チャネル:マイナビ等の媒体マイページ/OfferBox 等のスカウト受信管理ページ
役割 :学生が毎日開いている画面に案内を直接届ける
動線2(セーフティネット)
チャネル:ATSからの案内メール
役割 :個人メールボックスにも同等の情報を残す
ポイントは、「初期段階で優先するのは『配信効率』ではなく『到達の確実性』」だと割り切ることです。
アトラクト前の温度感が低い学生に対して、案内が届いていない時点で離脱は確定します。媒体側とATS側の両方で同一の案内を流すことで、環境差による見落としをほぼ起こさない状態を作ります。
4. 解決策②|角度を変えた「4パターン定期追客」で忘却を防ぐ
エントリーやスカウト承諾はしたものの、すぐに予約行動へ移らない学生に対し、多くの企業は同じ案内文を繰り返すか、一度きりの案内で終わってしまいがちです。温度感の低い学生にとって、同じ内容の催促はノイズにしかなりません。
そこで、毎週コンテンツの角度を変えながら接触を続ける「4パターンの定期追客」を設計しました。学生の理解度を段階的に引き上げ、「一度話を聞いてみよう」という心理的ハードルを下げていきます。
(1) 新規日程案内
内容:新しい説明会・ISのスケジュールをいち早く開示
狙い:「都合の良い日がなかった」という物理的離脱を防ぐ
(2) キャリアステップ
内容:入社後の成長ステップを、先輩社員の事例を交えて紹介
狙い:働くイメージを具体化し、志望度のベースを引き上げる
(3) 数字で見る企業情報
内容:平均年齢、男女比、残業時間、成長率などを可視化
狙い:定量情報で安心感を与え、論理的に企業理解を進める
(4) 参加者の声
内容:実際の説明会・IS参加者のリアルな感想・満足度
狙い:「参加して損はなさそう」と参加への心理的ハードルを下げる
接触頻度を保ちつつ毎回異なる価値を届けることで、検討層が「忘却」によって離脱するのを防ぎ、予約への移行率を底上げします。
5. 解決策③|通知パンクを回避する「SMSアプローチ」
二軸配信と定期追客を回しても、なお予約数が伸び悩む時期があります。媒体掲載を続けているため分母は増えているのに、予約数が連動しない、という状態です。
ここで3つ目の打ち手として導入したのが、SMS(ショートメッセージサービス)の活用です。
メール配信でも反応しなかった層に対し、月2回のペースで「説明会・IS の新規日程+予約URL」だけを記載したシンプルなSMSを送付しました。
配信サービス(SMS LINK 等)の管理画面で開封率や予約導線を確認したところ、メール経由とSMS経由とで、予約に至る学生の応募時期に明確な差があることが分かりました。
定期追客メールから予約に至った層
予約に至った学生の応募時期(平均):約 2.5 ヶ月前
特徴:じっくり比較検討中の早期応募層
SMSから予約に至った層
予約に至った学生の応募時期(平均):約 1ヶ月前
特徴:就活真っ盛りで多忙な「リアルタイム就活生」
就活が本格化している学生は、毎日大量の媒体メール・ATSメールを受け取っています。タイトルを工夫して二軸で送っても、通知画面が物理的にパンクしており、メールそのものが埋もれてしまっているのです。
スマホのポップアップ通知で直接届くSMSは、この「通知パンク状態」のなかでも視界に入りやすく、直近応募層を予約に引き戻すための補完チャネルとして機能しました。
6. 導入効果|未予約者500名から、追加で55件の説明会予約を再獲得
「媒体×ATSの二軸配信」「週次の4パターン追客」「月2回の補完的SMS配信」を継続した結果、選考に進んでいなかった未予約層から、以下の追加成果が生まれました。
対象セグメント:未予約のまま離脱しかけていた学生 約500名
4パターン定期追客メール
配信頻度:毎週
期間:約5ヶ月(1/12〜6/15、約22週間)
獲得予約数:43名
予約転換率(CVR):約 8.6%
SMS配信
配信頻度:月2回
開封率 約20%
期間:約3.5ヶ月(3/2〜6/12、約15週間)
獲得予約数:12名
予約転換率(CVR):約 2.4%
累計獲得予約数:55名
累計予約率:約11.0%
1回あたりの反応率は約0.3〜0.4%と一見小さく見えますが、継続的に接点を持ち続けることで、最終的には未予約者約500名から55件の説明会予約を再獲得できました。
何もしなければ離脱していた層を再び選考接点に戻せた点で、十分に大きな成果と言えます。
7. 運用設計の3つの注意点
同様の運用を自社で再現するときは、次の3点に注意してください。
1. 二軸配信は「文面の整合性」と「配信ミス防止」を最優先に
媒体側とATS側で文面・日程・URLがズレていると、学生の不信感を一気に高めます。
テンプレート管理と配信前チェックの仕組みを必ず先に整えます。
2. 追客コンテンツは「営業色」を出さない
4パターンの追客は、案内ではなく「学生にとっての有益情報」として設計します。同じ案内の言い換えになった瞬間に、ブロック・スパム扱いされる確率が跳ね上がります。
3. SMSは「頻度」と「セグメント」を絞る
SMSはメールより一段強い通知です。月2回・直近応募層に絞る、配信時間帯を平日日中に限定する、といったルールを最初に定義してから運用に乗せます。
8. まとめ|初期歩留まりは「学生のリアルな行動」に運用を合わせる
新卒採用の初期歩留まりを改善するうえで本質的に必要なのは、目を引くキャッチコピーや突飛な施策ではありません。「学生がいま、どの画面を開いているか」「通知がどれほど埋もれているか」というリアルな行動特性を理解し、そこに自社の運用を合わせにいく設計です。
本記事で紹介した3つのアプローチは、いずれもシンプルな運用の積み重ねです。一方で、
・ 媒体とATSの両方から案内を送る
・ 毎週、対象者を正しく抽出して4パターンの追客を送り分ける
・ 直近応募層に絞ってSMSを月2回配信し、開封、予約データを確認する
これらを自社の人事リソースだけで毎週やり切ることは、面接対応や日常業務と並走するうえで現実的にかなり困難です。効率化のために導入したATSが、結果として運用負荷で機能しきれていない、というケースも実際に多く見られます。
新卒採用RPO・初期歩留まり改善のご相談について
レコグラムでは、新卒採用の「母集団は集まるのに、説明会につながらない」という課題に対して、媒体・ATS・SMSを組み合わせたコミュニケーション設計から、毎週の配信運用・データ分析までを、RPO(採用代行)として一気通貫で支援しています。
・ 「歩留まりのどこに手を打つべきか分からない」
・ 「ATSを入れたのに、説明会予約が思うように伸びない」
・ 「追客やSMS配信まで、自社リソースでは手が回らない」
このような課題をお持ちの新卒採用ご担当者様は、お気軽にご相談ください。貴社の応募データ・運用状況を踏まえたうえで、最適な改善設計をご提案いたします。