採用ノウハウ

求人に条件を詰め込むと失敗する?!|シフトを埋める「原稿出し分け」戦略

2026.07.22

「応募は一定あるものの、平日のランチタイムのシフトが埋まらない」「週5日入れるフリーターからの応募が来ない。」――

アルバイトの採用数が多い飲食・販売チェーンの採用ご担当者や店舗マネージャーの皆様から、このような声を頻繁に伺います。

ここで見直すべきは、応募数そのものではなく、「求人原稿と広告予算を、働き方ごとに出し分けられているか」という運用の構造です。
本記事では、レコグラムが伴走型支援の現場で取り組んだ、1つの求人に条件を詰め込まず、「働き方」ごとに原稿と広告予算を出し分けることで、応募者の属性を狙った層に寄せていく具体的な手順を紹介します。


広告予算の枠を働き方ごとに切り分けることで、フルタイム勤務の応募を2倍以上まで増やした事例です。


1.「応募はあるのにシフトが埋まらない」アルバイト採用の構造的なミスマッチ

アルバイトを多く採用する飲食・販売の現場では、応募数そのものは確保できているのに、肝心のシフトが埋まらないという相談が後を絶ちません。
特に多いのが、土日希望の学生アルバイトばかりが集まり、本当に人手が欲しい層にリーチできていないケースです。

本来、現場が埋めたいのは次のような枠です。

ところが実際に集まるのは、土日・短時間を希望する学生層に偏ります。母集団形成のKPI(応募数)だけを見れば回っているように見えても、現場のシフト表は穴が空いたまま――
これが、アルバイト採用に特有のミスマッチです。

その一因として、1つの求人原稿に「週2日〜OK」「フルタイム歓迎」「平日のみ可」と、あらゆる条件を詰め込んでしまっている例が目立ちます。求職者に求人を見てもらうことを優先しすぎて、結果的に採用を遠ざけている可能性があるのです。

2. なぜ「全部入り原稿」はターゲットに届かないのか|予算を食いつぶす構造

Indeedをはじめとする運用型広告には、「クリックされやすい(人気のある)原稿」に「クリックしやすいターゲット(学生層)」へ表示するというアルゴリズムが働いています。

「週2日〜・短時間OK」という条件は、検索ボリュームが非常に大きい学生層にヒットしやすく、広告予算を真っ先に消化します。その裏で、本当に採用したい「平日ランチ限定」や「週5日フルタイム」という条件は、ターゲットの目に触れられない可能性があります。

つまり、1つの原稿・1つのキャンペーンに条件を混在させると、

という偏りが構造的に発生します。


これが、「応募数は確保できているのに、現場のシフトが埋まらない」というミスマッチの正体です。打つべき手は原稿の文言を磨くことではなく、原稿と予算の「構造」を分けることにあります。

3. 解決策|原稿を「働き方」で出し分け、ターゲットを棲み分ける

レコグラムが現場で取り組んだのは、シンプルな発想の転換です。

1つの求人ですべてのターゲットを集めようとせず、「働き方」ごとに原稿を切り分け、それぞれを狙った層に届ける。

「平日ランチ×主婦(夫)」「フルタイムフリーター」のように、埋めたいシフトの穴ごとに専用の原稿を用意し、キャッチコピーと打ち出す条件を最適化します。求職者は自分の働き方に合った原稿にだけ反応するため、応募の総量を増やすのではなく、応募してくる人の属性を、現場が欲しい層に寄せにいくことができます。

次章で示すとおり、この「出し分け」を行うと、集まる応募者の属性(デモグラフィック)ははっきりと変化します。

4. データで見る|原稿の出し分けによる応募者属性の変化

実際の採用データを紐解くと、原稿の切り口を変えるだけで、集まる層が明確に棲み分かれることが分かります。

4-1. 「通常原稿」と「平日特化原稿」

幅広い層に向けた標準的な原稿では、応募者の属性が学生層に大きく偏ります。一方、平日勤務のメリットを前面に押し出した「平日原稿」を切り出すと、属性が大きく変化します。

原稿の切り口応募者属性の傾向
通常原稿(幅広い層向け)約 61% が「学生」に偏る
平日特化原稿「フリーター」53%/「主婦・主夫層」12% を獲得

平日昼間の要となる主婦・主夫層は、通常原稿ではほとんど取りこぼしていた層です。打ち出しを変えるだけで、この層に届くようになります。

4-2. 「短時間原稿」と「フルタイム原稿」

勤務日数の打ち出しを変えると、応募者の属性は次のように分かれます。

原稿の切り口応募者属性の傾向
フルタイム原稿(週5日〜)64% が「フリーター層」
短時間原稿(週2〜3日)65% が「学生層」

このように、原稿のキャッチコピーや条件を「働き方」ごとに明確に分けることで、狙った層との棲み分けがきれいに実現できます。
「誰に向けた求人なのか」を1原稿1ターゲットで設計することが、ミスマッチ解消の第一歩です。

5. 原稿だけでなく「広告予算の枠」も切り離す

ここで重要なのは、原稿を分けるだけでは不十分だということです。さらに必要なのが、広告予算の枠(キャンペーン)を切り離すことです。
原稿を分けても予算枠が1つのままでは、結局クリックされやすい原稿に予算が吸い取られ、振り出しに戻ってしまいます。

レコグラムが採用支援した飲食の現場でも、はじめは1つのキャンペーンにすべての原稿をまとめて運用していました。
その結果、応募が集まりやすい「週2日〜」の原稿に予算が吸い取られ、採用難易度の高い「週5日レギュラー」は埋もれた状態が続いていました。

そこで、「短時間枠」と「フルタイム枠」でキャンペーンを完全に分離し、それぞれに予算を割り振る運用へ変更しました。結果、埋もれていたフルタイム求人がターゲットに露出されるようになり、レギュラー(週5日)の応募を2倍以上に増やすことに成功しました。

予算配分は「市場の難易度」から逆算する

予算をどう割り振るかは、勘ではなくデータで決めます。Indeedの掲載レポート(同時期、同額で掲載していた原稿比較)からは、週5日(レギュラー)と週2日(短時間)に次のような差があると認識しています。

指標週5日(レギュラー)の傾向
① IMP(表示回数)週5日の表示=ニーズは週2日の 43%(市場が小さい)
② CTR(クリック率)レギュラー希望者向けに絞ると低下(=欲しいターゲットだけがクリックしている状態)
③ CVR(応募率)週2日より 0.4ポイント高い(フリーター層の応募意欲が高い)
④ CPA(採用単価)週5日人材の採用難易度は週2日の 約3.4倍

ポイントは、採用難易度(CPA)が約3.4倍高いレギュラー枠には、必要人数 × CPA で逆算した予算を確保することです。「採用しやすい層」への予算投下をコントロールし、「採用すべき層」へ確実に予算を届ける。
この「予算の出し分け」が、シフトを埋めるのに重要なポイントとなります。

6. 自社で実践するときの4つのステップ

このアプローチを自社で再現するときは、次の4ステップで「原稿と予算の構造」を見直します。

1,不足シフトの可視化

店舗ごとに「どの曜日・どの時間帯」が足りないのかを正確に把握します。穴の大きい枠から優先的に手を打つため、ここがすべての起点になります。

2,ターゲット別原稿の作成

「平日ランチ×主婦(夫)」「フルタイムフリーター」など、シフトの穴に合わせた専用原稿を作成し、キャッチコピーを最適化します。

3,予算の「枠」を分ける

それぞれの原稿を別キャンペーンで運用し、採用難易度(CPA)に合わせて予算比率を調整します。これにより、特定の原稿による「予算の食いつぶし」を防ぎます。

4,歩留まりの検証とKPIの再設定

属性ごとの「面接設定率」や「入社後の定着率」を追い、KPIを「応募数」ではなく**「在籍純増数(欠員補充率)」**に置いて、プロセスを継続的にブラッシュアップします。

7. 同じ手法を再現するときの3つの注意点

このアプローチを自社で再現するときは、次の3点に注意してください。

  1.  1.キャンペーンを分けすぎない 穴の数だけ際限なくキャンペーンを増やすと、1枠あたりの予算が薄まり、広告側の学習も応募データも溜まりません。まずは「不足の大きい枠」から2〜3枠程度に絞って始めるのが現実的です。
  2.  2.原稿は「条件の言い換え」ではなく「ターゲットの動機」に翻訳する 同じ求人の語尾を変えるだけでは出し分けになりません。主婦(夫)層には平日昼の働きやすさ、フリーター層には収入の安定といった、その層が本当に求めている動機を軸にコピーを設計します。
  3.  3.KPIを「応募数」から「欠員補充率・定着」に切り替える 出し分けの目的は応募の水増しではなく、シフトの穴を埋めることです。応募数だけを追うと元の偏りに戻りやすいため、属性別の面接設定率・定着率とセットで継続的に運用します。

8. まとめ|KPIを「応募数」から「欠員補充率」へ

「応募さえ来ればいい」という時代は終わりました。
これからのアルバイト採用に必要なのは、単なる集客数ではなく、**「現場のシフトがどれだけ埋まり、早期離職がどれだけ減ったか」**という、実利に直結する指標です。

本記事で示したように、

この一連の構造改善だけでも、現場のシフトは着実に埋まりはじめます。一方で、

これらを日常業務と並走しながら自社リソースだけで回し続けるのは、負荷が高いのも事実です。


原稿・広告予算の「出し分け」設計のご相談について

レコグラムでは、アルバイト採用の比率が高い飲食・販売チェーン様の「採用インフラ」を再構築する伴走型のRPO(採用代行)支援を行っています。原稿の出し分け設計から、キャンペーン分割・予算配分、改善後の歩留まり効果測定までを一気通貫で支援します。

このような課題をお持ちの採用ご担当者様は、お気軽にご相談ください。
貴社の応募データ・シフトの不足状況を踏まえたうえで、最適な原稿設計と予算配分をご提案いたします。

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