「応募数」アテにならない?IndeedPLUS・バイトル・はたらこねっと・マイナビバイトに”同じ案件”を同時掲載した結果
2026.07.22
「応募数が増えました」「応募単価が下がりました」――
複数の求人媒体に出稿していると、求人広告会社からこうした報告を受ける機会は多いはずです。数字が良くなったと聞けば、「この媒体は効いている」「もっと予算を寄せよう」と判断したくなります。
しかし、その応募数だけを信じて広告へ投資を続けて、本当に良いのでしょうか。
応募数は、同じ人が何度も応募していたり、別の媒体で見た人と同じ人だったりすると、簡単に膨らみます。「応募が増えた」「単価が下がった」という数字の裏側で、実際に出会えた”人数”はほとんど変わっていない、ということが起こり得ます。
入口の数字だけで媒体の良し悪しを判断すると、予算配分そのものを誤りかねません。
本記事では、レコグラムが媒体差配に関わった、同一の事務センター案件を4媒体(Indeed PLUS・バイトル・はたらこねっと・マイナビバイト)に同時掲載した3ヶ月の応募・採用データをもとに、媒体ごとの「重複」の実態を解剖します。
総応募6,052件を一件ずつ名寄せして見えてきたのは、「応募数」という指標の危うさと、媒体は応募数ではなく実人数(ユニークユーザー)と採用までを見てスコア化すべきだという事実でした。
1. 「複数媒体に出すべきか」という採用担当者の悩み
求人媒体を運用していると、広告会社や媒体の管理画面から届く数字はたいてい「応募数」と「応募単価」です。
「先月より応募が増えました」「単価が下がって効率が良くなりました」と言われれば、その媒体に予算を寄せたくなるのは自然なことです。判断の物差しとして真っ先に使われるのが、この「応募数」と「応募単価」なのです。
しかし、この2つの指標には大きな落とし穴があります。
- ・同じ人が、同じ媒体に何度も応募している(1人が複数の求人に重複して応募する)
- ・同じ人が、別の媒体からも応募している(A媒体で見た人がB媒体にもいる)
このとき、表示される応募数は実際に出会えた「人数」よりも大きく膨らみ、応募単価も実態より安く見えます。つまり、応募数や応募単価を媒体間で単純に比較し、「数の多い・単価の安い媒体に寄せる」という判断は、母集団の実態を見誤らせている可能性があるのです。
正しく評価するには、延べの「応募数」ではなく重複を除いた「実人数(ユニークユーザー)」で見て、さらに「採用数」まで紐づけて媒体をスコア化する必要があります。私たちは実際のデータで、これがどれほど違うのかを検証しました。
2. 検証データ:同一案件を4媒体に同時掲載
検証したのは、東京都内の事務センター案件の募集です。同一の案件を、同じ時期に4つの媒体へ同時に掲載し、3ヶ月間で応募・採用を追いました。総応募数は 6,052件 です。
重複の判定(名寄せ)にあたっては、応募者の個人情報を匿名化したうえで、同一人物かどうかを機械的に突き合わせています。
媒体別の応募・採用の状況は、次のとおりです(3ヶ月合計・採用数172名)。
| 媒体 | 応募数(延べ) | 応募単価 | 採用数 | 全採用に占める割合 | 採用単価 |
|---|---|---|---|---|---|
| Indeed PLUS | 2,511 | ¥2,466 | 129 | 75.0% | ¥47,998 |
| はたらこねっと | 1,986 | ¥1,126 | 17 | 9.9% | ¥131,513 |
| マイナビバイト | 880 | ¥1,607 | 16 | 9.3% | ¥88,393 |
| バイトル | 675 | ¥1,204 | 10 | 5.8% | ¥81,291 |
ここで早くも、入口と出口で評価が逆転していることがわかります。
応募単価がもっとも安いのははたらこねっと(¥1,126)で、応募数だけを見れば「効率の良い媒体」に映ります。ところが採用まで見ると、全採用172名の75%はIndeed PLUS経由で、はたらこねっとは9.9%にとどまります。
採用単価でも、Indeed PLUSの約4.8万円に対し、はたらこねっとは約13.2万円と3倍近い開きがあります。
「応募単価が安い=良い媒体」とは限らない――
この時点ですでに、入口の数字だけで媒体を評価する危うさが見えてきます。そして、この差を生んでいる正体の一つが「重複」です。
3. 発見①:応募数の約半分は「同じ人」だった
まず、それぞれの媒体の中で「同じ人が何度も応募している」割合(媒体内の重複応募率)を見てみます。
| 媒体 | 応募数 | 実人数 | 重複応募率 |
|---|---|---|---|
| Indeed PLUS | 2,511 | 1,558 | 38.0% |
| はたらこねっと | 1,986 | 803 | 59.6% |
| マイナビバイト | 880 | 552 | 37.3% |
| バイトル | 675 | 501 | 25.7% |
もっとも極端なのがはたらこねっとです。1,986件の応募のうち、約6割が同一人物による重複応募で、実際の人数は803人しかいませんでした。応募単価が¥1,126と安く見えていたのは、同じ人が何度も応募して「件数」を押し上げていたからにほかなりません。
実人数で割り直せば、単価は見かけの2倍以上に跳ね上がります。
そして、これは1媒体内の話にとどまりません。4媒体すべてを通して名寄せすると、6052件の応募は、実在する3,414人にまで圧縮されました。応募の約半分が重複だったということです。
ここから得られる最初の教訓は明確です。媒体を「応募数」や「応募単価」で比較してはいけません。 見るべきは、重複を除いた「実人数(ユニークユーザー)」、そして2.検証データで見たように、そこからさらに「採用数」まで紐づけて評価することです。
入口(応募)の数字と出口(採用)の数字を一本でつないで、はじめて媒体は正しくスコア化できます。
4. 発見②:それでも複数媒体に出す価値はある
「半分が重複なら、複数媒体に出す意味は薄いのでは?」と思われるかもしれません。しかし、データはむしろ逆の結論を示しました。
4媒体を通して名寄せした3,414人のうち、複数の媒体に応募していた人は307人(9.0%)だけでした。裏を返せば、91%の応募者は、たった1つの媒体にしか現れていないということです。
| 内容 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 1つの媒体にしか応募していない人 | 3,107 | 91.0% |
| 複数の媒体に応募している人 | 307 | 9.0% |
これは、それぞれの媒体が、ほとんど別々の人材プールを抱えていることを意味します。もし1媒体に絞っていたら、他の媒体にしかいない8〜9割の層には、最初から出会うことすらできなかったのです。複数媒体に出稿する価値は、まさにここにあります。
媒体どうしの重複を見ても、この傾向は変わりません。
| 組み合わせ | 重複人数 | 重複状況 |
|---|---|---|
| IndeedPLUS × はたらこねっと | 104 | はたらこねっとの 13.0%がIndeedPLUSと重複 |
| はたらこねっと × マイナビバイト | 73 | マイナビバイトの 18.2%がはたらこねっとと重複 |
| IndeedPLUS × マイナビバイト | 66 | マイナビバイトの 16.4%がIndeedPLUSと重複 |
| IndeedPLUS × バイトル | 45 | バイトルの 16.1%がIndeedPLUSと重複 |
バイトルやマイナビバイトといった応募数が少なかった媒体も、IndeedPLUSやはたらこねっとと重なるのは15〜18%程度で、8割以上は独自の層です。
なお、複数の媒体を跨いで何度も応募してくる層は、採用に至りにくい傾向も見られました。複数媒体掲載の価値は「同じ人に何度も会うこと」ではなく、それぞれの媒体にしかいない別々の人に会えることにあります。
5. 実務への示唆:媒体ポートフォリオの組み方
この検証から、媒体選びと評価について次の3点が言えます。
5-1. 媒体は「実人数 × 採用」でスコア化する
媒体を比較する物差しそのものを変える必要があります。延べの応募数や応募単価は、重複によって簡単に水増しされます。
評価すべきは、①重複を除いた実人数(ユニークユーザー)、②そこから何人が採用に至ったか、そして③実人数あたり・採用1名あたりのコストです。応募という入口だけでなく、採用という出口まで一本でつないでスコア化してはじめて、「本当に効いている媒体」が見えてきます。
今回のデータでも、応募単価が最安のはたらこねっとは、採用単価では最も高い媒体でした。
5-2. 複数媒体掲載を前提に設計する
各媒体はほぼ別の母集団です。媒体を重ねるほど、出会える人の総量は増えていきます。
1媒体への集中は、コストを抑えているようでいて、実は8〜9割の潜在応募者を取りこぼす機会損失になりかねません。
5-3. 知名度の高い大手と小規模を組み合わせる
IndeedPLUSのような知名度が高い大手メディアで数を確保しつつ、バイトルやマイナビバイトのような媒体で独自層を拾う――
この組み合わせが母集団を最大化します。媒体間の重複は全体の1割程度なので、「被るからもったいない」と過度に気にする必要はありません。
6. まとめ
同一案件を4媒体に同時掲載し、6,052件の応募を名寄せして見えてきた要点は、次の3つです。
- ①「応募数」「応募単価」はアテにならない。全体の約半分が重複で、はたらこねっとに至っては約6割が同一人物。
応募単価が最安の媒体が、採用単価では最も高いという逆転も起きる。 - ②それでも複数媒体に出す価値はある。応募者の91%は1つの媒体にしか現れず、媒体ごとに別々の人材プールを抱えている。
- ③媒体は「実人数 × 採用」でスコア化する。入口の応募数・応募単価ではなく、ユニークユーザーと採用まで紐づけて評価する。
広告会社から届く「応募が増えた」「単価が下がった」という報告は、媒体を見る出発点ではあっても、投資判断の結論にはなりません。
重複を除いた実人数と、採用という出口までつないで見たとき、はじめて媒体の本当の価値が見えてきます。
求人媒体の差配・分析のご相談について
レコグラムでは、採用代行(RPO)の現場で、複数媒体の応募データを名寄せし、実人数ベースで媒体の費用対効果を分析しています。
そのうえで、媒体ポートフォリオの設計や出稿予算の配分最適化までを一気通貫で支援しています。
「複数媒体に出しているが効果が分からない」「応募数は多いのに採用につながらない」といったお悩みがありましたら、お気軽にお問い合わせください。